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税理士に相談する前に知っておきたい会社設立後の7つの手続き

会社設立は、登記の申請が終わったら設立完了ではありません。
登記の後もやらなければいけないことが実はたくさんあるんです。
しかし、

「なにをしなきゃいけないか分からない」

「どこで手続きするの?」

「いつまでにやらなきゃいけないの?」

などなど、疑問がある方もいらっしゃると思います。
今回は設立後の各種手続きについて、順を追ってお話していきたいと思います。



  • 設立後に行う手続き一覧
まず、会社設立後に行う各種手続きをご紹介します。
特に順番を守る必要はありませんが、スム-ズに全てを完了するためにご参考頂ければと思います。


① 登記事項証明書と印鑑証明の取得


② 法人口座の開設手続き


③ 税務署に届出


④ 地方自治体に届出


⑤ 労働基準監督署への届出
(従業員がいる場合)


⑥ ハロ-ワ-クへの届出
(従業員がいる場合)


⑦ 年金事務所に届出


それでは、順々にお話していきます。



  • 登記事項証明書と印鑑証明書の取得
登記が完了したらまず、もう一度法務局へ行きます。
理由は、設立した会社の登記簿謄本と、印鑑証明書を取得するためです。

この2つは口座開設や届出を行う際に必要になるので、最初に取得しに行くようにしましょう。



登記事項証明書ってなに?

登記事項証明書(登記簿謄本)とは、登記記録に記録された事項の全部又は一部を証明した書面のこと。
法務局に保存してある会社の登記簿をコピ-したものです。

登記事項証明書には以下の4種類があります。

・履歴事項全部証明書(以前の変更登記の履歴も入る)
・現在事項証明書(現在効力がある登記事項のみ)
・代表者事項証明書(代表者に関する事項のみ)
・閉鎖事項証明書(吸収合併や本店移転などの履歴が入る)

会社設立時の銀行や税務署などに届出する際は、「履歴事項全部証明書」を取得しましょう。



印鑑証明書の交付

登記の際、法務局に会社の実印(代表者印)を登録しました。
この実印の印鑑証明書を、登記事項証明書と併せて取得します。

2つとも、使う機会が何度かあるので、その都度取得するのではなく、数通(3~5通)まとめて取得しておきましょう。




  • 法人口座の開設手続き
証明書を取得したら次は銀行口座の開設です。
個人の銀行口座と比べて、法人の口座は書類の準備が必要だったり、審査が厳しかったり、開設まで時間がかかったりと少々手間がかかります。

法人口座開設で注意すべき点を3つご紹介します。



どの銀行にする?

まず、どの銀行で口座を開けばいいか、についてです。
法人口座を開設する銀行は大きく分けて4つあります。

① 都市銀行(三井住友、みずほ、三菱東京UFJなど)
一番初めに考慮したいのが、都市銀行です。
都市銀行は、事業を行う上で取引先からの信頼が増します。
大手との取引や、事業規模拡大を視野に入れている場合、都市銀行で口座開設を行うのがいいでしょう。
しかし、振込手数料が高く、開設の際の審査が厳しくなります。

② 地方銀行(横浜銀行、東京都民銀行など)
地方銀行は、都市銀行と比べて、地域に密着しているのがメリットです。
融資の相談などにも親身に答えてくれます。
しかし、首都圏では利便性が悪かったり、インタ-ネットでの決済には不向きといえます。

③ ネット銀行(楽天銀行など)
振込手数料が安く、24時間決済が可能なので、ネットでの事業を行ううえでは選択肢の1つとなります。
しかし、ATMや預金通帳の発行が無いので注意が必要です。

④ 信用金庫
信用金庫は銀行ではありませんが、中小企業にはとてもお勧めです。
地方銀行よりもさらに、地域密着型で小さい会社でも親身に融通が利きやすいのが特徴です。
設立したてでも法人口座が開設しやすいです。
しかし、他の金融機関と比べると金利が高いのがデメリットといえます。

上記4つのメリット、デメリットに加え、会社からの物理的距離や、入出金のしやすさ等を考慮して選びましょう。



法人口座開設が断られるケ-ス

会社の実態によっては、銀行側から断られてしまう場合があります。

① 資本金の金額が低すぎる
株式会社は資本金1円から設立することができますが、あまりに額が低いと断られる場合があります。
銀行によって、法人口座開設の最低資本金額の基準が変わってきますので、設立準備の段階でしっかりと確認しておきましょう。

② 事業が登記上の住所で行われているか
現在、法人口座を利用した犯罪が多いこともあって、都市銀行ではオフィスの賃貸契約書の提出が求められます。
バ-チャルオフィスを利用したり、固定電話を設置していなかったりなど、オフィスの実態が不明確なほど、断られる可能性は高まるので注意しましょう。

③ 事業内容や、事業目的が不明確な場合
定款の事業目的が多すぎたり、一貫性が無いなどで、なんの仕事をしているのか分からない場合、断られる可能性があります。
実際のサ-ビス内容の具体的な資料や、会社のホ-ムペ-ジなどを用意しておくといいでしょう。



口座開設のための必要書類

法人口座開設のために必要な主な書類は以下の通りです。

・口座開設依頼書
・登記事項証明書
・代表取締役の印鑑証明書
・会社の実印
・銀行印
・定款
・身分証明書

銀行によって必要書類が違うので、事前にホ-ムペ-ジなどで確認しておきましょう。




  • 税務署に届出
法人口座の手続きと並行して、各機関への届出を行います。
機関ごとに提出すべき書類をご紹介します。

まずは税務署に届出する書類は以下の通りです。



必ず提出すべき書類4つ

会社設立に際して、全ての会社が提出すべき書類を4つご紹介します。

① 法人設立届出書
法人設立届出書とは、設立した会社の概要を税務署に知らせるための書類です。
会社設立から2ヶ月以内に提出しなければいけません。

また、法人設立届出書には、以下の4つの書類を添付します。

・定款のコピ-
・登記事項証明書
・設立時の貸借対照表
・株主名簿

② 青色申告の承認申請書
青色申告の承認申請書を提出することで、青色申告の特典が受けられるようになります。
税金上のメリットがとても大きいので必ず提出しましょう。

会社設立から3ヶ月以内に提出しなければなりません。

③ 給与支払事務所等の開設届
会社が社長や社員に給料を払う場合、所得税を控除した金額を支払い、控除した所得税はまとめて会社が税務署に支払います。
給与支払事務所等の開設届とは、所得税を会社が支払うことを税務署が把握するために必要な書類になります。

④ 源泉所得税の納期の特例に関する申請書
会社を設立して給料を支払うと、源泉所得税を毎月納めなくてはなりません。
しかし、給与を支払う従業員が10名未満の会社は、7月10日までと、1月20日までの半年ずつ、年2回にまとめて納付することができます。
この特例を受けるために、源泉所得税の納期の特例に関する申請書を提出しなければなりません。

設立初期の負担や手間を軽減することができるので、必ず提出しましょう。



任意で提出する3つの書類

次は、人によっては提出する必要がある書類を3つご紹介します。

① 棚卸資産の評価方法の届出書
棚卸資産とは、商品や材料など、いわゆる「在庫」のことです。
この「在庫」が税務上いくらの価値を有するかを評価するための方法を、棚卸資産の評価方法といいます。

届出を出さない場合は、最終仕入評価法となります。
最終仕入評価法とは、その商品を最後に仕入れた時の単価で評価するという方法です。

他にも、評価の方法は全部で9種類あります。
自分の会社にとってどれがいいか税理士と相談することをお勧めします。

② 減価償却資産の償却方法の届出書
建物や車、パソコンなどの高額な資産は、その金額を一度に経費に計上することができず、減価償却して毎年少しずつ経費に計上します。
この減価償却の計算方法を、減価償却資産の償却方法といいます。

届出を出さない場合、有形固定資産の建物と建物付随設備については定額法、その他の有形固定資産については定率法が、無形固定資産については定額法が適用されます。

③ 個人事業の開業・廃業届出書
会社設立前に、個人事業として開業届を提出している場合、廃業届の提出が必要になります。




  • 地方自治体に届出
税務署で行った申請は国税についての手続きでした。
今度は地方税の手続きのために、都道府県事務所と、市区町村の役所に届出を行います。
例外として、東京23区の場合は都税事務所への提出だけで、区役所への提出は不要になります。

届出に必要な書類は以下の通りです。

法人設立届出書
・定款のコピ-
・登記事項証明書

ただし、法人設立届出書の書式は都道府県、市区町村によって書式が違うので、事前にホ-ムペ-ジで確認しましょう。
また、こちらも会社設立から2ヶ月以内に提出しなければならないので注意しましょう。




  • 労働基準監督署に届け出
会社に従業員を1人でも雇う場合には、労働保険と雇用保険に加入しなければいけません。
まずは、労働保険加入のために、労働基準監督署で手続きを行います。



労働保険とは

労働保険とは、労働者が業務上の事由又は通勤によって負傷したり、病気にかかったり、死亡した場合に、被災労働者や遺族を保護するための保険です。


提出する2つの書類

① 保険関係成立届
保険関係が成立して、10日以内が法律上の提出期限です。
登記事項証明書の添付が必要になります。

② 概算保険料申告書
保険関係が成立してから50日以内に提出しなければいけません。
労働保険は概算金額を前払しなければいけないので、50日以内の提出となっています。




  • ハロ-ワ-クへの届出
こちろも従業員がいる場合に必要な手続きで、ハロ-ワ-クで雇用保険の手続きを行います。


雇用保険とは

雇用保険とは、労働者が失業した場合や、労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に、労働者の雇用や生活の安定を図るための保険です。


提出する2つの書類

① 雇用保険適用事業所設置届
事業所設置から10日以内が期限となっています。
添付書類として、以下のものが必要です。

・保険関係成立届
・概算保険料申告書
・登記事項証明書
・事業所の賃貸契約書
・法人設立届
・事業所宛に配達された郵便物(事業所が稼働していることの証明)

② 雇用保険被保険者資格取得届
資格取得の事実があった翌月10日までが提出期限です。
労働者名簿などの雇用したことを証明する書類の添付が必要です。


労働保険と雇用保険について、詳しくは厚生労働省のホ-ムペ-ジをご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/980916_1.html




  • 年金事務所に届出
会社を設立した場合、たとえ社長1人の会社でも社会保険の加入が義務付けられています。
社会保険とは、厚生年金保険と健康保険です。



提出する3つの書類

① 健康保険・厚生年金保険新規適用届
法人として健康保険・厚生年金保険に加入するための書類です。
登記事項証明書や賃貸契約書のコピ-を添付します。

② 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
役員、社員等の個人が健康保険・厚生年金保険に加入するための書類です。

③ 健康保険被扶養者(異動)届
役員、社員等に扶養されている人が健康保険・厚生年金保険に加入するための書類です。
扶養の証明として添付書類が求められることがあります。


上記3つの書類の提出期限は「社会保険加入義務の発生事実から5日以内」となっています。
曖昧な表現ではありますので、会社設立の際に年金事務所にしっかりと確認するようにしましょう。




  • まとめ
以上が会社設立後に必要な手続き各種になります。
自分で全て手続きを行うことも可能ですが、かなりの手間と時間を有してしまいます。

税務署への手続きは税理士が、社会保険の手続きは社会保険労務士がそれぞれ代行することができます。
設立したてに余計な仕事に手を煩わせないためにも、まずは専門家に相談してみることをお勧めします。





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