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ところで機関設計ってなに?|株式会社の機関全10種類と機関設計を考える3つのポイント

株式会社を設立する際、「定款」と呼ばれる会社のル-ルブックを作成します。
会社の商号や目的、発行可能株式や資本金の金額など、会社に関する様々な取り決めを行います。

この定款で決める内容の1つに、会社の機関設計(役員構成)を決めるという項目があります。
恐らく、ほとんどの方が機関設計なんて聞いたこともないのではないでしょうか?

ということで、今回は機関設計とはなにか?株式会社の機関全10種類についてお話していきたいと思います。




  • 機関設計ってなに?
そもそも、機関設計とはどういうことでしょうか?

機関とは

機関とは、会社の運営や意思決定などを行う役職や会合のことで、全部で10種類あり、それぞれ様々な役割や権限を持っています。

会社法にもとづき、自分の会社にどの機関を設置するか決めることを機関設計といいます。
会社設立のための定款作成で、この機関設計を行う必要があります。




  • 株式会社の機関全10種類
それでは、株式会社の機関にどのようなものがあるのか、1つずつみていきましょう。
ただ、ほとんどのものは中小企業にはあまり必要ないものなので、参考程度にご覧ください。



株主総会

株主総会とは、株主の意思で会社の重要事項を決定する機関で、必ず設置される機関です。
会社における最高機関であり、定款変更、組織変更、取締役等の選任・解任などが株主総会で決定されます。

多くの中小企業のように、取締役会を設置しない会社の場合、株主総会で経営の一切の事項を決定します。



取締役

取締役とは、会社の業務執行の役割を担う機関で、必ず設置される機関です。
会社を代表する存在であり、上記の株主総会により選定されます。

取締役は1人でもいいとされており、複数いるときは過半数で業務執行の意思決定を行います。
また、代表取締役を決めたときは、その者だけが会社の代表となります。



取締役会

取締役会とは、株主総会で選任される取締役全員で構成される機関で、定款で定めることで設置できます。
ただし、公開会社、監査役会を設置した会社、委員会を設置した会社は必ず取締役会を設置しなければなりません。

取締役会を設置した場合、会の頭数による多数決で、株主総会決議事項以外の会社の意思決定を行います。
重要財産の処分や多額の借入などは取締役会で決定しなければいけません。

取締役会を構成する取締役は3人以上必要なので、多くの中小企業では取締役会を設置せず、上記の取締役のみを設置しています。



代表取締役

代表取締役とは、取締役が2人以上いる会社では、取締役の互選または株主総会で選任することができる任意の機関です。
ただし、取締役会を設置した場合、その取締役会で選任される必須の機関です。

株主総会や取締役会で行われた意思決定をもとに、代表取締役が中心となり業務執行を行います。
個人の役職でいえば、会社の実権を握る最も重要な役職になります。

また、選任した株主総会や取締役会によって解任することもできます。



会計参与

会計参与とは、取締役らと共同で貸借対照表や損益計算書等の計算書類を作成する機関で、定款に定めることで設置できます。
ただし、税理士または公認会計士しかなることはできません。

会計参与は、作成した計算書類を会社とは別に5年間保存し、会社の債権者や株主の要求に応じこれを閲覧させる必要があります。
顧問税理士が会社内にいるようなものとお考えください。
中小企業の会計の正確さ、透明さの改善を目的に定められた機関です。



監査役

監査役とは、取締役及び会計参与の職務執行や会計の適正をチェックする機関であり、定款に定めることで設置できる機関です。
株主総会によって選任されます。

ただし、取締役会を設置した会社には原則として監査役が必要になります。
会計監査と業務監査が基本的な役割となります。



監査役会

監査役会とは、上記の監査役の役割をより厳密に行うための機関であり、定款に定めることで設置できる機関です。
ただし、公開会社で資本金が5億円以上の会社は必ず設置しなければいけません。

監査役会を設置するためには、監査役が3人以上必要で、半数以上は社外監査役でなければいけないという条件があります。



執行役・代表執行役

執行役とは、取締役会から意思決定を任された会社の業務について自ら意思決定するとともに、会社の業務を執行する機関で、指名委員会等設置会社のみに存在する機関です。

執行役が1人であればその者が代表執行役に、複数のときは取締役会によって代表執行役が選ばれます。



委員会

委員会とは、経営の監督と業務執行を明確に分離し、経営監督機能の強化及び経営の透明性を高めることを目的とした機関で、定款に定めることで設置できる機関です。

委員会設置のためには、取締役会により取締役の中から選任された、3人以上の委員で構成され、各委員会の過半数は社外取締役でなければいけません。

委員会は全部で3種類あり、それぞれの役割は以下の通りです。

① 指名委員会
株主総会に提出する取締役の選任、解任に関する議案内容を決定します。

② 監査委員会
取締役及び執行役の職務が適正かどうか監査し、株主総会に提出する会計監査人の選任、解任、不再任に関する内容を決定します。

③ 報酬委員会
取締役、執行役それぞれの報酬内容、または報酬内容決定に関する方針を決定します。



会計監査人

会計監査人とは、会社の計算書類等を監査して報告書を作成する機関で、定款で定めることで設置できる機関です。
ただし、指名委員会設置会社、監査委員会設置会社、及び資本金5億円以上の会社は必ず設置しなければなりません。

また、会計監査人は会社の機関ではなく社外の存在であり、公認会計士または監査法人しかなることはできません。




  • これから起業する際に機関設計を考える3つのポイント
上記で紹介した機関について、これから起業して会社を設立する際の機関設計のポイントについて解説していきます。


基本的には最低限の機関で問題ない

中小企業の機関設計で最もシンプルなのは、株主総会と取締役のみを設置する形です。
基本的にはこの形で問題ありません。

逆に、任意の機関を設置するにも人が必要になります。
創業メンバ-が3人までの場合は、悩まずに株主総会と取締役のみにしておきましょう。



取締役会をもし設置する際のポイント

取締役が3人いれば取締役会を設置することができます。(取締役会を設置すると原則として監査役も必要なので厳密には4人)

取締役会を設置する際のポイントは、株主が持つ権限が適切かどうかで判断します。
取締役会を設置しない場合、株主総会によって経営の全ての事項を決定することができるので、株主が「所有」と「経営」の両方の権限を持つことになります。

取締役のメンバ-以外にも、出資者がいる場合などはよく検討しましょう。



取締役が複数いても代表取締役はちゃんと決めよう

取締役が複数いる場合でも代表取締役は決めておきましょう。
決めずに取締役全員で意思決定をしていても、創業当初は特に問題はないかもしれません。
しかし、会社の規模が大きくなるにつれて経営方針に関する問題は出てきます。

会社設立の前段階から、リ-ダ-を誰にするか話し合っておきましょう。




  • まとめ
いかがだったでしょうか?
今回の機関設計をはじめ、株式会社設立のためには様々な取り決めを行わなければいけません。

一から理解するにはかなりのボリュ-ムがあるので、悩んだら専門家などに相談するようにしましょう。



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