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個人事業主と合同会社ならどっちがいいの?|それぞれの特徴・メリットと選択する際の5つのポイント

最近のブログでよく合同会社についてのお話をしていますが、またまた合同会社の話です。

さて、株式会社と比べると設立のコストが少なくて楽に済むのが合同会社です。
その利点のおかげで、いきなり法人として事業をスタ-トさせるハ-ドルがかなり低くなりました。

「ゆくゆくは会社にしたいけどまずは個人事業主から」という考え方が現在では一般的です。
しかし、「まずは合同会社からゆくゆくは株式会社」という考え方についても今後さらに増えていくことが予想されます。

それでは、具体的に個人事業主と合同会社はどう違うのか?どんな人がどちらを選んだらいいのか?ということについて、今回のブログでお話していこうと思います。



 

  • 個人事業主の特徴と4つのメリット
まず、個人事業主とはどのようなものか?メリットはなにか?ということについてお話していきます。


個人事業主とは

個人事業主とは、読んで字の如く個人で事業を営んでいる人のことをいいます。
飲食店やクリニックなどの自営業、ITエンジニアやライタ-などのフリ-ランスなど、呼ばれ方は様々ですが全て個人事業主となります。
我々税理士などの士業も個人事業主が多いです。

会社からお金を貰う給与所得ではなく、商品の売上やサ-ビスの報酬としてお金を得る事業所得という所得区分が特徴です。

1月1日~12月31日を事業年度とし、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告を行い、所得税を納付します。
個人事業主である限りこの期間は変えることはできません。



メリット1|創業にお金がかからない

合同会社にしろ株式会社にしろ、会社を設立するにはそのための費用がかかります。
しかし、個人事業は創業のために費用は一切かかりません。

設立費用は、合同会社で約10万円、株式会社で約25万円程度かかります。
決して安い金額ではありませんので、設立費用が不要というのは大きなメリットといえるでしょう。



メリット2|事業開始の手続きが少なくて済む

法人の場合、上記の設立のための手続きに加え、事業を始めるための手続き書類が存在します。
しかし、個人事業の場合、最低でも「開業届」さえ出せばそれで始めることができます。

もちろん、他にも必要に応じて手続きが発生しますが、法人に比べると圧倒的に手続きが楽です。



メリット3|税理士を雇わなくても大丈夫

個人事業主は法人に比べて経理や確定申告が簡単です。
税理士を雇わずとも、自分の力で十分に対応できますし、会計ソフトを使えば青色申告も可能です。

それが、法人になり、所得税から法人税へと取扱いが変わると、税務作業が複雑で難しくなります。
法人のほとんどが税理士に依頼しているという現状からも分かる通り、なかなか自分で行うのは困難になります。

毎月の顧問料や決算料は、創業期は特に負担になるので、安く自分の力で賄えるというのは大きなメリットとなります。



メリット4|儲けは全て自分のお金

個人事業主の場合、「売上-経費=利益=所得」となります。
つまり、事業で得た利益は全て自分のお金であり、自由に使うことができます。

会社になると、会社の利益は全て会社のものなので、社長が自由に使うことはできません。




  • 合同会社の特徴と4つのメリット
続いては合同会社の特徴とメリットについてです。


合同会社とは

合同会社とは、平成18年に新しく誕生した会社形態で、株式会社に比べて様々なコストが安いことが特徴です。
簡単に設立することができることに加え、税務面や社会保険加入などの扱いが株式会社と同じなので、BtoCビジネスや1人起業者を中心に年々設立件数が増加しています。



メリット1|法人になることで信用力が上がる

一般的に、個人より法人の方が信用力が高いといわれています。
取引面や融資面、さらに雇用面などで、個人事業に比べてビジネスに有利になります。

株式会社に比べるとまだまだ信用力は劣るといわれていますが、現在では新設法人の20%以上が合同会社であり、知名度も年々上がっています。
外資系有名企業で合同会社を採用している会社も多く、株式会社と同等の信用力を得る日も近いのではないでしょうか?



メリット2|経費の幅が広がり節税の選択肢が増える

合同会社といえど、税務上の扱いは法人になるので節税の選択肢が増えます。
会社と個人で所得を分散することで税率を下げたり、社宅を利用して家賃を経費にしたりなど、個人事業主の頃にはできなかった節税を取ることができます。

ただし、節税を意識し過ぎてしまうと、税金は安くなったけど結果的に手もとに残るお金が少なくなってしまった、ということにもなりかねません。
あくまでも、必要な範囲で経費を計上するということを意識しましょう。



メリット3|機関設計や利益配当を自由に決めることができる

合同会社の場合、「社員」の役割などの機関設計や利益の配当割合などを自由に定めることができます。
これは、合同会社ならではのメリットであり、非常に柔軟な会社経営を行うことができます。



メリット4|有限責任

有限責任とは、会社が負債を抱えて会社が倒産した場合、債権者に対し出資した範囲で責任を負うことをいいます。
合同会社や株式会社の社長はこの有限責任になります。
ただし、個人的に保証人になっている場合は返済義務があります。

一方、個人事業主は無限責任なので、債権者に対して負債総額全額を支払う責任を負うことになります。
初期投資が高額になる事業の場合、個人事業主のほうがリスクが大きくなるといえます。




  • どちらか選ぶ際の5つのポイント
それでは、上記のメリットを加味しつつ、個人事業主を選択したほうがいい場合と、合同会社を選択したほうがいい場合についてご紹介していきます。


できるだけ安く始めたいなら個人事業主

事業にかかるお金を必要最小限にしたい場合は個人事業主から始めるほうがおススメです。

合同会社の場合、設立費用や税理士費用など必要になるお金が個人事業より多くなります。
さらに、法人住民税の均等割といって、たとえ赤字でも支払わなければいけない住民税が発生します。

事業を始めるにあたり、十分な蓄えがあるという人はそれほど多くありません。
余計な手間とお金はかけず、まずは個人事業主として事業を軌道に乗せることに集中しましょう。



誰かと共同で事業を行う場合は合同会社

自分以外に出資者や経営者となる人がいる場合は合同会社がおススメです。
合同会社のメリットとして、自由な機関設計と利益の配当というものがありました。

誰かと共同で事業をする場合、個人より会社を設立するほうが一般的ですが、株式会社だと利益の配当は出資額によって決まってしまいます。
しかし、合同会社の場合は出資額に関わらず、実際の事業での役割などに応じた自由な配当を行うことが可能になります。

ビジネスパ-トナ-として、誰かと1つの事業を共同経営する時に合同会社は優れています。



従業員を雇う見込みがある場合は合同会社

事業の成長に合わせて、従業員を雇用することがある場合は合同会社のほうが有利です。
法人という信用力に加え、社会保険に加入できるなどの理由で、優秀な人材を確保しやすくなります。

どの業界も人手不足な昨今ですので、個人事業での新たな人材確保というのは非常に難しくなっています。
従業員を雇う必要性がある事業の場合、最初から法人という形をとってもいいのかもしれません。



自由にお金を使いたい場合は個人事業主

個人事業主最大のメリットが、自由に働けて自由にお金を使えるということです。

所得税は累進課税制度なので、儲かれば儲かるほど税率が上がっていきます。
しかし、仮に税金を多く支払ったとしても、好きにお金が使えるというのはとても大きいんです。

当事務所の顧問先にもそういう方はいらっしゃいますし、芸能人なども個人事業主を選択している人が多いそうです。



売上が1,000万円を超えるタイミングで合同会社

これは、最初から合同会社を選択するというケ-スとは違うんですが、最も多い法人成りのタイミングなのでお話させて頂きます。

先程もでてきた累進課税制度に加えて、売上が1,000万円を超えると個人事業主であっても消費税の納税義務が発生します。
しかし、そこで法人成りすることで、さらに2年間の消費税免除を受けることができます。

消費税以外にも、節税のことや税理士を雇うことなど、売上1,000万円というのが個人事業主にとってのある種の壁となっています。
会社にする気がそもそも無かった、という方でも合同会社というものは頭の片隅に置いておきましょう。




  • まとめ
いかがだったでしょうか?
個人事業主、合同会社、株式会社、それぞれにメリットもあればデメリットもあります。
起業をお考えの際は安易に決めずに、しっかりと事業の業界のことや、1年後3年後のプランなどを考慮して選択するようにしましょう。

 


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