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フリーランスに法人成りは必要?|法人成りを勧める税理士の3つの本音

1月も半分以上が終わり、2019年にもようやく慣れてきました。
ようやく。なんとか。

さて、毎年この時期になると、個人事業主のお客様からのお問い合わせが増えてきます。
税理士事務所あるあるですね。

確定申告関連のご相談が主ですが、事業年度が終わったこのタイミングで、法人成りをご検討されている方も多くいらっしゃいます。

会社設立によって事業規模の拡大を考えている方もいれば、税金の増加に伴い法人成りを検討しているフリーランスの方など、お客様それぞれで法人成りの思惑は全く異なります。

フリーランスの方であれば、売上が1,000万円に近づいてきて法人成りを検討し始める方も多いと思います。

ということで今回のブログでは、フリーランスの方の法人成りについて、メリットデメリットなどではなく、もう少しリアルな目線でお話していきたいと思います。



フリーランスは法人成りで何がどう変わる?


まずは、法人成りをすることでフリーランス時代から変わることについて、代表的なものについてお話していきます。


税金面での変化①|所得税から法人税+所得税に

1つ目の大きな変化が税金についてです。

フリーランスの事業にかかる主な税金は所得税です。
確定申告によって毎年申告します。

これが、法人成りすることで、会社にかかる法人税と社長個人にかかる所得税へと変化します。
仮に社長1人の会社であっても、会社と社長個人に所得を分散することで、税金の額を減らすことが可能になります。

また、所得税率の累進課税(所得が増えれば税金も増える)と違い、法人税率は基本的に一定なので、儲けが多くなるほど法人成りの節税効果は上がります


税金面での変化②|節税の手段が豊富に

1つ目と似たものになりますが、会社にすることでたくさんの節税対策ができるようになります。
もちろん、何でもかんでもやればいいわけではありませんが。

上記の①とあわせて、ある程度売上のあるフリーランスの方であれば、法人成りすることで税金面では得をすることがほとんどでしょう。


社会保険の変化|支払う保険料の増加

税金と同じくらい法人成りで考慮される話が社会保険についてです。
フリーランスから法人成りをした場合、1人社長の会社であっても、社会保険(健康保険、厚生年金)への加入が義務付けられます。

個人事業主時代の国民健康保険と国民年金に比べ、健康保険と厚生年金のほうが高額になります。

厚生年金は、将来貰える年金の金額が多いといったメリットもありますが、節税によって得をした税金分が全て手取り額に反映されるわけではない、ということを頭に入れておく必要があります。


事務面での変化|手続きの増大とそれに伴ってかかる費用

フリーランスや個人事業の良い所として、事務手続きの手軽さがあげられます。
面倒なのも確定申告くらいです。

しかし、法人成りによって会社にする場合、設立の時点から様々な事務手続きの連続になります。
定款の作成・認証、登記手続き、資本金、株や機関設計、支払う税金も会社と社長個人それぞれのものに対応しなくてはいけません。

社長個人が1人でこなすにはなかなかハードルが高く、税理士などの専門家に依頼する必要性が生じ、上記の保険料と同様に支払うお金が増えていきます


使えるお金についての変化|会社のお金=会社のお金

お金の損得の話とは少し異なりますが、個人的に一番大きな変化だと思うのは、会社のお金は自由に使うことができないということです。

フリーランスの場合、収入から経費を引いた残りが所得になり、税金分を除いて全て自由に使うことができます。
しかし、法人成りを行い、上記のように会社と社長個人で所得の分散を行ってしまうと、会社の利益は社長個人が自由に使えるお金では無くなってしまいます。

フリーランスや個人事業の醍醐味は何といっても「自由」であると思います。
仮に社長1人であっても、法人成りすることで会社に縛られることに変わりはありません。


法人成りを勧める税理士の3つの本音



当事務所をはじめ、多くの税理士事務所では法人成りを勧めていると思います。
もちろん、お客様の不利益になるような勧め方をすることはあり得ませんが、法人成りをして頂くことで少なからず税理士にとってもメリットがあります。

続いては、税理士が法人成りを勧める裏の本音(お金の話)についてお話していきます。



本音その1|法人成りすれば税理士がほぼ必須

個人事業主の場合、ご自身で確定申告を行う方はたくさんいらっしゃると思います。

しかし、法人で社長自身が申告も全部やっているというのは、ほとんどないはずです。
それだけ、法人の税務は複雑で大変な作業になります。

つまり、税理士にしてみれば、個人より法人のほうが顧問になってくれる可能性が高いということになります。


本音その2|法人成りしたほうが年間税理士費用が高額

多くの税理士事務所では、法人のほうが個人事業主に比べて、顧問料や決算料が割高になります。
当事務所でも、決算料の金額が法人のお客様のほうが高くなります。

個人より法人のほうが仕事量的には増えるので、当然と言えば当然なのかもしれません。
しかし、お客様からすれば、同じ売上で税理士料金だけ上がるという結果になってしまいます。


本音その3|個人より法人のほうが税務調査の可能性は高まる

税務調査の立会いを依頼する場合、顧問税理士だとしても立会い料が基本的には必要になります。

経営者からすると、満場一致で嫌なこと100%な税務調査です。
しかし、税理士からすると大変なものの臨時収入があるので、そこまで嫌ではないというのが本音です。

これは不可抗力な部分もあるので、上記の2つの本音とはタイプが違いますが、こういう側面もあるとだけご理解いただければと思います。


法人成りは目先の税金だけで判断しないことが大切

ここまでご覧いただいた通り、売上のあるフリーランスの方であれば、法人成りしたほうが税金を安く抑えることができます。

しかし、それに伴って、法人ならではの経費が発生したり、個人で自由に使えるお金じゃなくなってしまったりと、必ずしも法人成りがお得とは言えません。

フリーランスの方の場合、目先の税金だけでなく今後どのように事業を継続・発展させていきたいか、ということに焦点を当てて判断することが大切です。


フリーランスが法人成りについて考慮すべき3つのポイント


最後に、お金以外のどのような側面から法人成りを考えるべきか解説していきます。


ポイント1|売上をもっと増やしていきたいか

1つ目のポイントが、事業の売上をさらに増やしていきたいかどうかということです。
事業の売上が1,000万、5,000万、1億と増えて、それに伴い所得も増えれば、所得税はとんでもないことになります。

平成31年1月現在の所得税率は以下の表のようになっています。

参考:国税庁ホームページ「所得税の税率

対して、法人税の税率はいくら売上が増えても20%前後で一定です。
参考:国税庁ホームページ「法人税の税率

売上が1,000万円を超えて、さらに増やしていきたいと考えている場合、法人成りを検討してみましょう。


ポイント2|従業員を雇うかどうか

1つ目の売上を増やすと同じようなポイントですが、従業員を雇う考えがあるかどうかも大事なポイントになります。

フリーランスのままでも従業員を雇うことはできますが、その場合、基本的に従業員も社会保険に加入することができません。

法人成りをすることで、社会保険をはじめとした福利厚生の面が改善されます。

ただし、社会保険の場合、保険料の半額は会社負担となるため、従業員を雇えば雇うほど支払う金額は増えていきますので注意しましょう。


ポイント3|できるだけ縛られたくない

3つ目のポイントは法人成りをしないほうのポイントです。
フリーランスの最大のメリットは、なんといっても「自由」なことではないでしょうか?

所得の全てを自由に使えたフリーランスとは違い、法人成りをすると役員報酬の範囲でしか自由に使うことはできません。

当事務所でも、売上1,000万円以上で個人事業のままのお客様も多くいらっしゃいます。
税金ももちろん大切ですが、働き方や生活スタイルなどの観点からも、しっかりと考慮するようにしましょう。


売上1,000万円を超えたら次の1年間でしっかり考えよう

このブログでもそうですが、売上1,000万円を超えたら法人成りのタイミングとよく言われます。
これは、個人事業主であっても、原則的に年間の売上が1,000万円を超えると、2年後に消費税の課税事業者となってしまうことが理由です。

図のように、2年後に消費税の課税義務が発生します。

売上が1,000万円を超えてから、2年後の課税事業者になる前に法人成りすることで、個人事業は廃業扱いになります。
ですので、個人事業のうちに発生した課税義務はリセットすることができます。

さらに、原則として法人は設立後2年間は消費税が免除されるので、1,000万円を超えた次の年に目一杯悩んで法人成りしたほうが、免税の期間をより多く確保することができてお得になります。


まとめ


いかがだったでしょうか。
法人成りは、事業にとっても人生にとって中々に大きな決断となります。

法人成りを決めてから税理士を探すのではなく、検討の段階から一度税理士などの専門家に相談してみることをおススメします。





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