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知らなかったでは済まされない脱税の話

現在、日本社会全体の働き方が変化していることで、起業や独立をする人が増えてきました。
さらに、フリマアプリや仮想通貨など、普通の会社員の人でも、スマホ1つで簡単に副業を行うことができるようになっています。

それに伴い、節税への関心も日に日に増加しているように思います。
当ブログでも、節税についての記事は、過去にいくつか書きました。

しかし、節税はあくまでも法律に則って行わなければいけません。
法律を守らず、不正をして税金を納めない行為は、節税ではなく脱税です。
そして、脱税は犯罪です。

故意に脱税をすることはもちろんですが、仮に罪の意識がなく、知らずに脱税をしていたとしても犯罪であることに変わりありません。

今回のブログでは、どのようなものが脱税になるのか?脱税にはどのような罰則があるのか?ということについてお話していきます。




  • 具体的な脱税の方法
まず、どのような行為が脱税になるのかについてお話していきます。


脱税の種類は大きく2つ

細かい脱税の種類はとても多種多様ですが、大きく分けると2種類だけです。
それは、売上を隠ぺいする経費を水増しするの2つです。

そもそも、税金というのは利益に対して課税されるもので、利益が多ければそれだけ税金も多くなります。
「利益=売上-経費」となるので、脱税の手段も自ずと、売上と経費についての2つに絞られます。

この2つを不正に行うことが、脱税という行為になります。
それでは、それぞれに具体的にどのような方法があるのかみていきましょう。



売上を隠ぺいして脱税した具体例

2つのうちの1つ、売上を隠ぺいする脱税方法について細かくみていきます。
売上を隠ぺいする行為は、証拠が残りにくい現金取引で行われることがほとんどです。

① 領収書を破棄して売上に計上しない
レジを持たない事業所などに多い手法です。
領収書の店舗控えを破棄することで、その分の売上を計上せずに脱税する方法です。

② 一部の取引はレジを通さない
レジがある事業所の場合、一部の取引をレジを通さないことで、その分を脱税するという方法があります。
レジには売上に関する取引の全てが記録されるので、本来は事業の取引の重要な証拠になるものですが、それを逆手に取った形です。

③ イレギュラーな取引は売上に計上しない
特定の相手先とばかり取引を行う事業所に多いのが、イレギュラーな単発の取引は売上に計上せずに、社長個人の口座などに入金させて脱税する方法です。

④ 特定の時間や曜日を売上に計上しない
例えば、本当の定休日は日曜日だけなのに、水曜日も定休日ということにして、その日の売上は計上しないで脱税するという方法です。
他にも、本来は21時まで営業しているのに、20時までと偽ることで、20時~21時の売上を計上しないという方法もあります。



経費を水増しして脱税した具体例

続いては、経費を実際よりも多く計上することで脱税する方法についてです。
上記の売上の隠ぺいよりも多く行われている脱税です。

① 嘘の領収書を経費に計上
実際には取引をしていない領収書を、経費として計上する方法です。
宛名の部分だけが白紙の領収書に、後で自社の名前を記入して経費に加えるという方法です。

② 在庫を廃棄したことにして経費に計上
商品などの在庫は、在庫のままでは資産という扱いですが、廃棄するとその分は経費になります。
これを利用して、在庫を廃棄したと偽り、そのまま販売したりすることで脱税する方法です。

③ 架空の外注費を経費に計上
架空の外注費をでっち上げる、本来かかった外注費に金額を水増しする、などによって経費として計上する脱税方法です。
取引先と口裏を合わせて行っていることも多い方法です。

④ 架空の人件費を経費に計上
実際にはいない従業員を雇ったと偽って経費として計上する脱税方法です。
短期のアルバイトとして偽るケースが多いようです。




  • 脱税は必ずバレる
上記で紹介した方法以外にも、悪知恵の分だけ脱税の方法は存在します。
しかし、脱税というのは必ずいつかバレます。
税務署はそんなに甘くはありません。



税務調査でバレる

脱税をしても税務調査が入れば必ずバレます。
税務調査では過去の事業年度まで遡って、帳簿書類を細かくチェックしていきます。

怪しいところがあれば具体的な説明を求められますし、そこで辻褄が合わなければ簡単に発覚します。

怪しいことを一切していなくても、時にやってくるのが税務調査です。
不正をしたら必ず税務調査が来る、というくらいに心得ておきましょう。



自分で自分の首を絞めることも

脱税は基本的に税務調査によって初めて発覚します。
しかし、脱税をしているという疑惑が先で、それによって税務調査が行われる場合もあります。

実際に脱税の疑いをかけられるのは、以下の2つのようなケースです。

① 所得に見合わない金使い
脱税によって得た資金で、家や車などを購入したりすることで、脱税の疑惑がかけられるケースです。
税務署は、その人がどれくらいの所得を申告しているかを把握しています。
所得に見合わないお金の使い方をしていると、必ず脱税の疑いはかけられます。

② 誰かに自慢したばっかりに
儲け話というのは誰かに言いたくなるのが人間です。
不正を武勇伝のように話す人も中にはいるでしょう。

しかし、誰かに話してしまったばっかりに、脱税が発覚してしまうというケースもあります。
国税庁では、「課税・徴収漏れに関する情報の提供」によって、脱税に関する情報提供を募っています。
要するに「チクリ」です。

きちんと税金を支払っている人からすれば、脱税の自慢話をされるのは、決して気持ちのいいものではありませんので、チクられても文句は言えません。




  • 脱税によって課せられる罰則
最後に、脱税がバレた後にどんな罰則が待っているのかについてお話します。


告発されると刑事罰

脱税額が大きかったり、手口が悪質などの理由から、検察によって告発された場合、脱税は刑事罰に該当します。
罰則は、脱税の種類によって複数存在しますが、一般的に、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金またはこれらの併科(脱税犯)が課せられます。

また、近年、FXや仮想通貨で多額の所得を得ながらも、税金を払わないように故意に申告せずに黙っている、というケースが多くなっているようです。
これも告発されると罰則があり、5年以下の懲役または500万円以下の罰金またはこれらの併科(故意の無申告犯)が課せられます。



加算税と延滞税

脱税がバレた場合は、本来納めるはずだった税金はもちろん、罰則として追加の税金を支払う必要があります。
その税金が、加算税と延滞税です。

加算税とは、法定期限内に申告を行わなかった場合や、本来の税額よりも少ない税額で申告した場合などに課される税金です。

加算税には、「過少申告加算税」、「不納付加算税」、「無申告加算税」、「重加算税」の4種類あります。
脱税のように、故意の隠ぺいや仮装を行った場合は、このうちの「重加算税」が適用され、本来の税額の35%~40%を追加で支払わなければいけません。

延滞税とは、法定納付期限を過ぎた分の税額に課せられる税金です。
支払期限から日数が経過すればするほど、延滞税の金額は大きくなります。
延滞税についての詳しい計算方法などは、国税庁の「延滞税の計算方法」をご覧ください。



税金の支払いからは逃れることができない

脱税は、バレるまで複数年に渡って行われています。
そのため、複数年分の未納額を支払わなくてはなりません。
加えて上記のような、罰則による税金もあるので、税務署に支払うことになる金額は、かなり高額になることがほとんどです。

税金は、一般的な借金と違い、仮に自己破産したとしても支払わなくてはいけません。
高額で払えない場合は、自宅などの資産が差し押さえられるということもありますし、その後も完納するまで返済が終わることはありません。




  • まとめ
いかがだったでしょうか?
脱税を行うことは百害あって一利なしということがお分かりいただけたかと思います。

脱税というのは、昔から常に行われてきた犯罪です。
しかし、マイナンバーの実施やキャッシュレス化の促進など、技術の進歩した現在では、見つからずにやり過ごすことをほぼ不可能になりました。

仮に、周りでやっている人がいたとしても、決して流されず絶対にやらないようにしましょう。



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