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個人事務所の税理士が思う、個人事業の7つの良い所と5つの不安な所

あまり実感はありませんが、今年も残り2週間となりました。
早いですね。

さて、今年はもう2週間しかありませんが、新年の始まりまであと2週間と考えることもできます。
年末年始のタイミングで心機一転、転職や独立など、何か新しいことに挑戦しようという方も多いのではないでしょうか?

当事務所のお客様でも、年末年始の時期に独立開業したという方はたくさんいらっしゃいます。
個人事業の事業年度は1月1日~12月31日なので、税務的観点からも、今の時期が独立するにはいいタイミングなのかもしれません。

具体的に独立の準備を進めているという方だけではなく、独立ってどんな感じなんだろうと、ザックリと考えだしている方も多いと思います。

ということで今回は、個人事務所の税理士が思う個人事業の良い所、不安な所についてお話していきたいと思います。
当事務所も個人事業ですので、少しでも参考になれば幸いです。



 個人事業の7つの良い所


初めに、個人事業の良い所をご紹介していきます。
多少大げさな部分もあるかもしれませんがご容赦ください。


やりたいこと(できること)を仕事にできる

会社に入社して、自分のやりたい仕事に就けないということはあると思います。
大きな会社であればあるほど、中々自分の思い通りに働くことができないのではないでしょうか?

その点、個人事業は自分のやりたいことを仕事にすることができます。
本当にやりたい仕事がしたくて、転職や独立を考え始めたという方も多いはずです。

仮に、苦手な仕事を依頼されたとしても、会社に言われてやるのと、自分の判断でやるのではモチベーションは全く変わります。


売上を伸ばせばその分所得が増える

恐らく、これが一番の良いところかもしれません。
個人事業であれば、事業の売上を伸ばせば伸ばすほど、自分の所得として手元に入るお金も増えます。

100万円の契約をすれば、そのお金は全て自分の物です。
下世話な話かもしれませんが、お金という形で直接的に結果がでる所は、個人事業の大きなポイントになります。


いつ仕事をしても、しなくてもいい

個人事業は、自分で営業時間や営業日を決めることができます。
事業内容によっては、そもそも営業時間という概念がない場合もあるかもしれません。

1日5時間労働だろうと、週休4日であろうと、誰にも文句は言われません。
自分のペースで、やりたい時にやりたいだけ仕事をすることができます。


苦手な人と無理に仕事をしなくて済む

苦手な上司や苦手なお客さんがいたとしても、会社では我慢しなくてはいけないこともあると思います。
しかし、個人事業であればそもそも上司はいませんし、どうしても苦手なお客さんであれば仕事をしなければそれで済みます。

人間関係でストレスを抱えることがとても少なくなるのは、個人事業ならではの良い所ではないでしょうか。


お客さんと直接関わることができる

会社の場合、所属する部署によっては、お客さんの顔を一度も見ないなんてことも多々あると思います。
その点、個人事業の場合、お問い合わせからサービス終了までお客さんと関わることができます。

直接関わる割合が高い分、自分自身のことも知ってもらい、お客さん自身のことも知ることができ、仕事に対する思い入れがとても強くなります。


考えやアイディアを即座に経営に生かすことができる

個人事業では、思いついたことをすぐに、経営や事業に反映させることができます。
その反響もリアルタイムで分かるので、日々試行錯誤の連続で非常にやりがいがあります。

「毎日色々考えるなんて大変なだけじゃないか」

と思う方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、色々とアイディアを考えても、失敗が続くと正直へこみます。

しかし、10回に1回でも自分のアイディアの成果がでると、悩んで苦労した分喜びはとても大きくなります。


定年退職がない

当たり前ですが、個人事業に定年退職はありません。
何歳になろうと、自分の納得できるまで働くことができます。

実際、会社を定年退職した後に、新しく事業を成功させたという方もたくさんいらっしゃいます。
年齢に関しても、自由度が高いというのが個人事業の大きな魅力です。


 個人事業の5つの不安な所


散々良いことばかり書いてきましたが、続いては個人事業の不安な所についてです。
リターンが大きい分リスクが大きいのも個人事業の特徴です。


収入が0になる可能性がある

上記で、売上が増えればそれだけ所得も増えるという話をしました。
逆もまた然りで、お客さんがいなければ収入は0になります。

実際、個人事業や新設法人は、創業後5年以内で半分以上は廃業するともいわれています。
これは、自由に楽して仕事がしたいという気持ちだけで独立するには、到底割に合わないリスクです。

独立するためには、それ相応の覚悟と準備が必要だということを肝に銘じておきましょう。



病気やケガが事業にとって致命的

個人事業主に代わりはいません。
会社のように、誰かが休んだ分みんなでその人の仕事を穴埋めしよう、なんてことはありません。

個人事業主が病気やケガで仕事ができなくなった場合、それこそ収入0という事態になってしまいます。
独立する場合は、今まで以上に体調管理にも気を遣うように心がけましょう。

また、会社のように労働保険があるわけではありませんので、万が一の事態に備え、必ず自分で保険に入っておきましょう。



厚生年金に加入できない

会社員から個人事業主に変わると、社会保険も変わります。
健康保険は国民健康保険に、厚生年金は国民年金になります。

国民年金は厚生年金に比べ、将来年金として貰える金額は少なくなります。
しかし、半額を会社が負担していた厚生年金と違い、国民年金は全額自己負担となるので、支払う金額は高くなることが多いです。

つまり、独立すると会社員時代に比べ、支払う保険料は上がり、貰える年金額は下がるということになります。

定年退職がない個人事業ですが、しっかりと老後のことも踏まえて資金繰りを考える必要があります。



日々の経理が必須に

個人事業は確定申告をしなくてはいけません。
そのために、日々の経理作業も仕事の合間を縫ってやっていかなくてはいけません。

苦手な人にとってはまぁ面倒ですし、だからといって税理士に頼むのもお金がかかります。

なんとか確定申告できたとしても、間違っていれば税務調査などで後々罰則をかけられることもあります。



「会社」というバックボーンがなくなる

上記の良い所で、個人事業は自由!という話をたくさんしました。
しかし、言い方を変えると全ての責任が自分にあるということです。

仮に、お客さんや取引先とトラブルになった場合、全て自分で対処しなくてはいけません。
誰も守ってくれません。

また、社会的信用という面でも、会社に比べて個人事業のほうが弱くなります。



 独立する前に考慮しておきたい4つのポイント


それでは最後に、上記の良い所と不安な所を踏まえて、独立する前に考慮しておきたいポイントをご紹介します。

副業から始めてみる

事業内容にもよりますが、まずは副業から試してみるのもおススメです。

副業の場合、副業での所得(収入-経費)が年間20万円を超えなければ、確定申告の必要はありません。
年間20万円なので、お金を稼ぐという意味合いは薄いですが、事業の経験値を積むためとすれば非常に有用です。

最近では、副業を認める会社も増えているので、可能なら独立の前に副業で始めてみましょう。



税金のことも少し調べておこう

上記でもお話しましたが、独立して個人事業主になれば、確定申告が必要になります。
確定申告のやり方や、日々の記帳のやり方はもちろん、事業にどんな税金がかかるのかも一通り調べておきましょう。

確定申告の所得税にばかり目が行きがちですが、住民税や事業税、国民健康保険、国民年金など、全て所得税を納めた後に支払いが発生します。

税金の支払いの前に儲けを使い切ってしまうと、後々とても苦労することになります。
独立する前に自分の事業にどんな税金がかかるのか、しっかりと把握しておくようにしましょう。



ホームページ作成も検討しておこう

今の時代、事業をする上でホームページの存在は必須といえます。
独立していざ仕事をしようと思っても、最初は紹介以外での集客が難しいのが現実です。
事業の開始前からホームページの準備もしておくことをおススメします。

また、集客という観点だけじゃなく、信用面においてもホームページは大きな役割があります。
買い物をするとき、スポーツジムに入会するとき、誰しもお店のホームページを検索したことがあると思います。

ホームページがあるのが当たり前ということは、ホームページがない=怪しい、という見られ方をされる可能性もあります。
事業の内容や客層をしっかりと考慮して、ホームページの必要性も検討しておくようにしましょう。



詐欺や怪しい勧誘に注意

どちらかというと、事業を始めた後のポイントになりますが、新規事業を狙った詐欺や勧誘に注意しましょう。

個人事業として独立したり、会社を設立すると、どこから調べたのか色んな営業電話やDMが来ます。
ホームページを開設すれば尚更です。

ほとんどは真っ当な会社からのものですが、中には詐欺や悪質商法などが混ざっています。
それらは言葉巧みな上手い話で、創業者の心理をついてきます。

独立したてで集客が思うようにいかないと、怪しいとは分かっていても、藁にも縋る思いでついつい乗っかってしまう方も多いです。

しかし、一度引っかかってしまうと、カモとして認定されてしまう危険性もあります。
そうならないためにも、独立する前の段階から心構えとして持っておきましょう。



 まとめ


いかがだったでしょうか。
色々な話をしましたが、独立するというのは人生においてとても大きな決断になります。

独立を検討する際は、しっかりと準備をすることはもちろん、自分1人で悩むのではなく、色々な人に意見や助言を貰うように心がけましょう。



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