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個人事業主の節税対策|経費かどうか判断するための3つのポイント

前回のブログで、個人事業主の日々の記帳や確定申告についてお話しました。
今回はその記帳の基になることといいますか、経費についてお話していきます。

恐らく、個人事業主であれば誰しもが経費について考えたことがあると思います。
最終的に課税の対象となる「所得(利益)」は「収入」から「経費」を差し引いて導き出されます。

つまり経費が多ければ多いほど税金は安くなるといえます。
必要経費をしっかりと計上することで節税になるといえます。

では皆さん、ちゃんと必要経費を計上できているでしょうか?
なにが経費になってなにがならないか、ちゃんと理解できているでしょうか?

ということで、今回は個人事業主が節税するための必要経費計上のポイントについてお話していきます。




  • 経費での節税を考える前に、節税の3つの大前提
まず初めに、個人事業主の方が行える節税対策というのはあまり多くありません。
節税自体が法人成りのメリットとしても上げられるように、本格的に節税対策を行えるようになるのは会社にしてからです。

しかし、節税の基本は「所得(利益)」を減らすということですので、個人事業主であっても必要経費をしっかりと計上することで十分節税になります。
経費の話に行く前に、節税を考える上での大前提を3つお話します。



青色申告の申請は必ずしましょう

このブログでも再三に渡ってお話していますが、まずは何よりも青色申告をしましょう。
まずはここからです。
青色申告のメリットを得るのももちろん、青色申告じゃないと経費に出来ないものもたくさんあります。

例えば65万円の所得控除は、言い換えれば毎月5万円以上経費が増えるのと同じです。
小さい買い物で領収書を集めるよりもはるかに合理的に節税ができます。

個人事業主の方は、まだまだ白色申告だという方が多いのが現状ですので、これから開業を考えている方は必ず青色申告の申請をしましょう。


節税と脱税は違う

2つ目が節税と脱税は別ということです。
虚偽の申告による脱税は犯罪です。

以前ネットオ-クションで宛名未記入の領収書が売られるということがネットニュ-スになりました。
買った人がいたのかまでは定かではありませんが、実際に存在しない取引を経費として計上するのは脱税です。
しっかりとル-ルを守った上で税金を減らすということを意識しましょう。



利益を上げることが第一!

事業を営んでいる以上、利益を上げることを第一に考えましょう。
個人事業主や経営者の方の中には、売上が少ないうちから節税に重きを置きすぎている方がたまにいらっしゃいます。
節税節税といって必要無い経費まで増やしてしまうと結果的に手もとに残るお金が少なくなってしまう、ということにもなりかねません。

事業の今後の拡大のことを考えると、金融機関からの借入なども必要になってきます。
その時にしっかりと利益を出しておかないと思うように借入が行えなくなるので注意しましょう。

そしてもう1つ、日本の所得税は累進課税制度です。
利益である所得が上がれば税金の金額も上がります。
逆をいえば、所得が低ければ税金の金額も低いということです。
そうなると節税の効果もあまり期待できませんので、やはりまずは利益を全力で上げること、節税を考えるのはそれからでも遅くはありません。




  • 個人事業主が経費を考える時の3つのポイント
どんな取引でも経費になるわけではありません。

個人事業において経費にすることができる基準はどのようなもでしょうか?
経費かどうか判断するポイントをご紹介します。



事業に関連しているか

1つ目が、事業に関連したお金かどうかということです。

当たり前ですが、趣味に使ったお金などは経費にすることはできません。
しかし、個人事業主の場合、取引だけでは事業と私用との区別が分からない部分があります。
そういったものは事業との関連性を見極めることで、経費かどうか判断されます。

例えば、取引自体は同じ以下の取引の場合

となります。


金額は妥当か

2つ目は、経費として計上した金額が妥当かどうかということです。
売上に対しての割合、前年度比や、同業他社と比べて高すぎないかなどで判断されます。

例えば、100万円の椅子をオフィス用の椅子として経費にするのは無理がありますし、売上600万円で交際費が200万円というのも妥当とは言えません。

特に、交際費や消耗品費などは極端に金額が高くなると税務署の目にも留まりやすいので注意しましょう。



結局のところ経費の判断は人によって違う

経費になるかならないかを判断する材料は上記の2つです。
ご覧いただいて分かるかと思いますが、、そうです。曖昧なんです。

同じ買い物でもIT起業と飲食店では経費の判断は違いますし、同じ業種でもお店によって判断は変わってきます。
結論をいってしまえば、税務署が経費といえば経費だし、違うといえば経費ではありません。

何がいいたいかというと、自分の事業にあわせた判断基準を持ちましょうということです。
仮に税務署に指摘されたとしても、自分の口で経費としての判断理由を説明できるようにしておくことが大切です。




  • 個人事業主の経費になるもの
では、上記のポイントを踏まえた上で、どこまで経費になるのでしょうか?
なかなか自分だけでは判断しにくいもので、経費として認められるものをいくつかご紹介します。



自宅兼事務所であれば家賃の一部は経費に

個人事業主の方の中には、事務所や店舗を持たずに自宅で仕事をしているという方もいるかと思います。
そういう方の場合、自宅の家賃の一部を経費にすることができます。

方法は簡単です。
例えば、部屋全体で20畳あるうちの5畳分を書斎として仕事で使っている場合、家賃の5/20(1/4)を経費として計上することができます。



水道光熱費も一緒

自宅兼事務所の場合は、家賃と同様に水道光熱費も一部経費にできます。
上記の例と同じように、月の電気代などを仕事スペ-ス分で按分して計算しましょう。



引っ越し費用も一部経費に

自宅兼事務所の場合、住居の引っ越し費用についても同じ要領で経費にすることができます。
計算の仕方は上記2つと同じです。



携帯料金も一部を経費に

携帯電話料金も仕事で使用した分は通信費として経費にすることができます。
てっとり早く事業専用の携帯電話を契約して全て経費にしてしまうというのもアリです。



本や雑誌、新聞代

仕事の研究・勉強のための本や雑誌の購入費用は新聞図書費として費用にすることができます。
また、来客用の雑誌なども経費とすることができます。



車通勤の場合はガソリン代も経費に

事務所や店舗まで自家用車で通勤している場合、そのためのガソリン代の一部を経費にすることができます。
プライベ-トでも使うので全額はできません。一部です。
1ヶ月のうち20日は仕事での使用であれば、月のガソリン代に20/31で計算します。



新しく車を購入した場合の費用も一緒

中古車にしろ新車にしろ、新しく購入した車を事業にも使う場合も同じ要領で経費にできます。
ただし、車の場合は固定資産になるので減価償却によって年々少しずつ経費化されていきます。



取引先との忘年会費用

取引先との忘年会費用も交際費として費用にすることができます。
しかし、注意点が1つ。
経費に出来るのは一次会の費用までで、二次会以降は経費になりません。



キャバクラ代も大丈夫

取引相手の接待としてキャバクラなどを利用する場合はその費用も経費になります。
あくまでも接待での話なので、1人で行く場合は全く経費にはなりません。



セミナ-の参加費

事業に関係のあるセミナ-への参加費は費用になります。
個人事業主対象の経営セミナ-など多数開催されているので、参加した場合は忘れず経費にしましょう。



カフェのコ-ヒ-代

自宅や事務所から気分を変えて、パソコン片手にカフェで仕事なんて場合も経費になります。
ただし、そこで昼食など食事もする場合は、その食事の分は経費になりません。
あくまでもコ-ヒ-代や軽食代程度までです。



事業内容によっては飲食代も経費に

本来であれば、自分の飲食代は経費にはなりません。
ですが、事業内容によっては飲食代も経費になる場合があります。
例えば、ラ―メン屋さんが他店のラ―メンを食べた場合や、グルメライタ-のような仕事の場合は取材費というような形で経費になります。



従業員との飲食代は会議費に

従業員の誰かと一緒にレストランなどで食事をした場合、会議費として経費にすることができます。
ただし、あくまでも会議のための食事代となりますので、確実に経費にしたい場合はその際の議事録などを残しておきましょう。



事業税などの税金も経費に

全ての税金が経費になるわけではありません。
事業税、印紙税、固定資産税などの事業に関連する税金を経費にすることができます。



  • 個人事業主の経費にならないもの
続いては、逆に経費になりそうだけど実はならないものをいくつかご紹介します。


国民健康保険料・国民年金保険料

事業主自身の社会保険料は経費にはなりません。
ただし、経費では無く所得控除として税金を減額する役割があります。



事業主の健康診断費用

事業主自身の健康診断の費用は経費になりません。


ス-ツや靴などの衣服代

ス-ツ代は経費になりそうですが実はなりません。
今度は逆にプライベ-トでも使うものだからという理由で経費にすることができなくなります。
まぁ、これを認めてしまったら何でもかんでも経費にできるようになってしまうのでしょうがないかと思います。

ただし、衣服代でも作業着やお店オリジナルのTシャツなど専用性が示せれば経費にすることができます。



メガネ・コンタクト代

これらも衣服と同様で経費にすることはできません。


罰金

車の駐車違反や、税金の延滞税、無申告加算税などの罰金は事業の最中に起こったことでも経費にすることはできません。


所得税などの税金

上記では事業にかかる税金は費用にできるとお話しましたが、所得税や住民税などの個人にかかる税金は経費にすることはできません。


10万円(30万円)以上の固定資産

10万円以上のものを購入した場合、固定資産という扱いになり、その年に全額を経費にすることはできません。
減価償却によって少額ずつ経費化されていきます。(青色申告の特例の場合は30万円未満は全額経費)




  • まとめ
いかがでしたでしょうか?
経費についての悩みは個人事業主にとって必須事項といえます。

ネットや他人の意見をそのまま反映するのでは無く、自分の事業との整合性をしっかりと考慮しながら経費の判断をするように心がけましょう。




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